電子基準点とは?
上空約 2 万kmを周回する測位衛星(GNSS)から発信される電波を1秒毎にほぼリアルタイムで取得する装置の事です。
全国に約1,300ヶ所に国が設置した電子基準局があり、それらの取得したデータを解析する事によって、高密度かつ高精度な測量網の構築と広域の地殻変動の監視を目的とした観測システムとなっています。
測量や地殻変動の監視にしか使えないのか?
地殻変動がリアルタイムに観測できる事を利用して、地震活動の研究や地震予知の研究にも利用出来ます。
また、宇宙から発信される電波は、地球上の大気の状態に影響を受けます。
大気上層の電離圏にあって特に電子とイオンが多く存在し電波を反射する電離層や、大気中の乾燥大気や湿潤大気など水蒸気、気温によって電波の伝播速度が変化する対流圏。
これら測量では誤差となる原因を逆に利用し、大気中の水蒸気の量などを推定する事で気象予報などにも活用出来ます。
また、これらのデータを利用してcm級の測位を実現する事で自動車や農業、工業分野で働く車の自動運転、雪で見えなくなった道路の除雪作業、目印に乏しい海洋での土木工事、無人航空機の運航、福祉分野での活用などなど、多岐に渡る活用方法があります。
民間での測位衛星の活用
測位衛星の発信する電波は、誰でも受信する事が出来ます。
あなたの持っているスマートホンも、車のカーナビも、ラジオやテレビなどと同じように自由に受信して利用する事が出来ています。
しかし、単独で受信した情報だけでは精度が出ないのが現状です。測定誤差は数メートルから数十メートルはあります。
民間でもcm級の測位
測位衛星は、一方的に情報を発信するだけでなので、スマートホンもカーナビも、電子基準局も受信する電波は同じです。
単独で情報を解析すると、誤差は大きいのですが、電子基準局の受信した情報とタッグを組めば話は変わってきます。
いきなりcm級の誤差で位置を特定することが出来る様になるのです。
しかし、国が設置した電子基準点の情報とタッグを組むには費用がかかってしまいます。
民間でも電子基準点が作れる時代になった!!
とても便利な電子基準点ですが、かつては、国家主導ではないと作れない程、高価な機材を用いなければ電子基準点は作れませんでした。
また、電子基準点とタッグを組めるGNSS測量機も車が買えるほどの費用がかかる、やはり高価なものでした。
ところが昨今!!
人類の技術発展や民間需要の高まりにより、それら高価だったものが数万円から数十万円で手に入る時代へと突入したのです。
しかも、安いから精度が劣るという訳ではありません。安くてもかつて高価だった機器にも全く劣らない程の精度が確認されました。
一時期は自作しないといけなくて、技術的ハードルが少し高かったこともありますが。
2022年6月の今では!!
自分専用の電子基準局も、GNSS測量機も、ネットでポチれるくらい簡単に買えて、しかもスマホと連携して使えるくらい簡単に、cm級の測位サービスを自分で構築できる時代になりました!
次回は、「民間等電子基準点」についてお話します。
Views: 811
この記事へのコメントはありません。