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恵方巻きを食うぞーーー!!
恵方巻き(えほうまき)とは、節分に恵方を向いて無言で食べると良いとされる、意図的に切り分けてない太巻き寿司のこと
(Wikipediaより)
2023年の恵方
2023年の恵方は南南東との事
2023年節分の恵方は「南南東」とされていますが、方向に関して過敏な土地家屋調査士たる生物は、方向角を知りたくなるのです。
南南東の方向角=157.5°
一般的に方向とはは北を0°とし、時計回りに360°で一周します。
東は方向角90°です。南は180°となります。
南東は、東と南の中間ですので、135°。
南南東は南と南東の中間ですので、157.5°となります。
2023年の恵方の方向は丙(ひのえ)
恵方というのは、その年に歳徳神(としとくじん)という、陰陽道でその年の福徳を司る神の在する方位との事。
恵方は4方向(甲(きのえ)=75°・丙(ひのえ)=165°・庚(かのえ)=255°・壬(みずのえ)=345°)となっている。。。
ん?165°!?
誤差7.5°!!!7度と30分のズレ!!
なんという事でしょう。
あり得ない。普段は***度**分**秒(*** ° ** ′ ** ″)と、秒単位での誤差を気にする毎日。
分単位の誤差はあり得ず、ましてや度単位でのズレだと・・・!!!
2023年の恵方は南南東ではありませんよ!!!
いや待て。南南東の157.5°もギリ丙とも言えるか。
丙の方位の範囲(165°±7.5°=157.5°から172.5°)
風水を含む中国占術では、方位を24に分けた
【二十四山(にじゅうしざん)壬・子・癸・丑・艮・寅・甲・卯・乙・辰・巽・巳・丙・午・丁・未・坤・申・庚・酉・辛・戌・乾・亥の24種類】
を主に採用されており、恵方も二十四山での分類となっています。
となると、一つの方位が担当する角度は15°
丙は中心方向角165°から7.5°の範囲、つまり157.5°から172.5°の間が2023年の恵方という事です。
しかしなんたる事。
南南東を正確に向いたとしても、角度に余裕のないわずかな東向きの誤差が出た場合、それは恵方ではなくなってしまう。
コレは由々しき事態です。簡略化して情報を伝えるマスコミュニケーションの弊害でしょう。
一体、南南東を信じて恵方巻きを食べた何割の方が、
実は恵方を向いて食べてなかったんだよ・・・
という恵方もどき巻きを食べて勘違いしているのでしょう。
いざ実食
よし、方位磁石を取り出して、北方向を確認して、165°方向を向いていざ実食・・・
ちょっと待って!!!
北って、何基準の北なんだ・・・?!
磁北・真北・方眼北
正しい方向角は分かりました。165°±7.5°。
しかーし、方位磁石が示す北は、磁北と呼ばれる北を示すもの。
北極点を示す真の北方向、「真北」とはズレがあるのです。
更には、我々土地家屋調査士が日々、X軸方向(測量系座標)で使用している北は方眼北や、座標北いう物。
それぞれ北の正確な概念は違うのです。
恵方巻きの0°方向は北極点だ!
スマホの地図アプリや紙の地図そのものは、真北を基準に作成されています。
登山用の地図には磁北線が書込まれており、方位磁石と磁北線の向きを揃えて現地で確認をします。
ここで恵方の根拠となるものを考えてみましょう。
恵方とは陰陽道の考え方。そして陰陽道は天文との関連が深いものです。
磁北は場所により真北とのズレもまちまちです。
よって、天文学っぽく天の北極、つまり真北が北の基準である事が妥当といえるでしょう。
目標の範囲が決まった
ようやく、2023年の恵方は、真北を基準に165°±7.5°の範囲に向かって太巻きを食す行為である事が分かりました。
こうなったら、より正確な位置、及び方向で恵方巻きを食したくなります。
よし、海で食べよう。
実食場所を選定する
ここは気持ちよく食べたいので、近くの砂浜、旧三池海水浴場を実食場所とする事に。
方位盤を当てはめる
よし、実食場所はここでいいか。
位置情報を取得する。
ここは土地家屋調査士らしく、慣れ親しんでいる平面直角座標系で座標を取得する事にしてみます。
いつもお世話になっている北海道の中村先生のサイトから位置情報を取得します。
K’z lab
https://www.n-survey.com/online/gmap2.htm
実食点の座標をCADに取込む。
実食点、平面直角座標 2系 [X] 1436.941 [Y]-55177.530 をCADに取込みます。
恵方の方向角を計算する。
実食点の座標が決まったので、2023年の恵方の座標値を計算してみます。
157.5°方向(恵方限界角)に10mの地点 [X] 1427.680 [Y] -55173.757
165°方向(中心方向)10mの地点 [X] 1427.282 [Y] -55174.942
172.5°方向(恵方限界角)10mの地点 [X] 1427.019 [Y] -55176.282
方向角ではなく、方位角で求めなければいけない。
しまった!
いつもの感覚で、単純に方向角と距離から現地座標を計算してしまいました。
CADに取込んだ時点で、平面直角座標系になっている。これは球面を無理やり(実務では支障の無い範囲)で平面にしている座標系です。
「方眼北」や「座標北」などと呼ばれる北方向であって、真北とは異なります。
方眼北と真北の差を求めるには。
よし、こうなったら真北測量の為の太陽観測・・・いや、これは大変です。
せっかく、平面直角座標系の座標値があるのです。国土地理院の計算サイトに頼る事にします。
真北方向角を計算する。
平面直角座標系の北方向は、方眼北という地球の丸みを平面にしたモデル座標系なので、場所により真北方向に違いがでます。
今回は国土地理院の計算サイトで、真北方向を計算してみましょう。
まずは国土地理院の計算サイトにアクセス
https://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/surveycalc/main.html
緯度、経度への換算をクリック
平面直角座標系を選択(今回は2系)し、座標値を入力
計算実行!
平面直角座標系のこの点についての真北方向角が計算されました。
真北方向角を考慮し、平面直角座標系で再計算・・・
めんどくせぇ。
恵方巻きは理屈じゃなくパッション
なんども同じような計算をするのは面倒だ。
そうだ、恵方巻きはただのゲン担ぎ。
いろいろ考えずに
なんとなく南南東の方向を向いて、お気に入りの太巻きを食べよう。
それが一番!!
もぐもぐ
もぐもぐ
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