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民間等電子基準点のみを既知点とした 登記基準点測量マニュアル(案の案)

この記事は実験的なものであり、この方法でスタティック測位する方法は地積測量図に記載する基準点の作成の方法としては認められていません。

– 民間等電子基準点をスタティック測位に利用するメリット –
民間電子基準点の1秒RTCM3データによる解析エポック数の増加に加え、BeiDou衛星信号を活用することで、使用可能衛星数が大幅に増加します。また、電子基準点より近距離に位置する民間電子基準点を利用することで、短基線解析の特性を生かし、特に都心部でのFIX率向上が期待されます。

[序]概 説

1.はじめに

国土地理院は、全国約1,300か所に設置された電子基準点と中央局からなるGNSS連続観測システムを20年以上運用しており、信頼性の高い観測データや測位結果を安定的に提供している。一方で、近年ではスマート農業などの分野で、民間によるGNSS連続観測局の設置が進んでいる。GNSS連続観測局は位置情報サービスの中核を担う存在であり、設置者ごとに規格や準拠座標系が異なると利用者に混乱を与える可能性がある。

この課題に対応するため、国土地理院は令和元年10月に「民間等電子基準点の性能基準及び登録要領」を制定し、民間のGNSS連続観測局の性能を評価し、級別に登録する制度を導入した。この制度により、国土地理院に登録された民間電子基準点を利用することで、国家座標に準拠し、一定の精度を持つGNSSデータを活用することが可能となる。

昨今のGNSS測量機の普及帯価格の製品の登場により、土地家屋調査士によるGNSS連続観測局の設置及び民間等電子基準点の登録が進んでいる。
国家座標に準拠した民間等電子基準点を活用することにより、国家座標(世界測地系)に準拠した登記基準点の整備を進めるものである。

また、民間等電子基準点が配信するRTCM3は1秒データであり、民間利用の為GPS、準天頂衛星システム、GLONASS、Galileoに加えBeiDou衛星の信号を配信している。
これらを活用することで、使用衛星数の増加、計算エポック数の増加により、都市部においてのスタティック測位のFIX率の向上に寄与する事を目的とする。

2.マニュアルの利用について

2.1 マニュアルの目的及び適用範囲
このマニュアルは実験的目的であり、実際の測量には今のところ使用できない。

第1章 総 則

(目的と適用範囲)
第1条 このマニュアルは、民間等電子基準点のみを既知点とする登記基準点測量の標準的な作業方法を定め、その規格を統一するとともに、必要な精度を確保することを目的とする。

第2章 民間等電子基準点のみを既知点とした基準点測量

第1節 要 旨
(準則の準用)
第2条 このマニュアルに規定するもの以外は、準則を準用する。
(要 旨)
第3条 本章は民間等電子基準点のみを既知点とした登記基準点測量の作業方法等を定めるものとする。
GNSS とは、人工衛星からの信号を用いて位置を決定する衛星測位システムの総称で、GPS、準天頂衛星システム、GLONASS、Galileo等の衛星測位システムがある。民間等電子基準点のみを既知点とした登記基準点測量においては、GPS、準天頂衛星システム、GLONASS、Galileo及びBeiDouを適用する。なお、GPSと準天頂衛星システムは、同等のものとして扱うことができるため、このマニュアルにおいて、両システムの衛星を以下「GPS・準天頂衛星」と表記する。

ー 以 下 略 ー


静岡県土地家屋調査士会西遠支部の民間等電子基準点網が配信するRTCM3データのみを使って、スタティック測位する方法を解説します。
この方法で得られた座標値は、例え真値に近い確証が得られたとしても登記基準点として使う事は出来ません。
民間等電子基準点の精度確認を目的とした実験的な記事です。


手順概要
・民間等電子基準点のRTCM3をSTRSVRを使ってロギングします。
・現地でスタティック測位します。
・民間等電子基準点のRTCM3を固定局としてDroggerProcessorに登録します。
・現地で測位したRAWデータを民間等電子基準点のRTCM3とスタティック測位の計算をします。
・測位計算は1秒単位で計算する事とし、BeiDou衛星を含めるものとします。

静岡県土地家屋調査士会西遠支部の民間等電子基準点網

誰でも無料で使ってよかげな!
どこも3周波で補正データば配信しよらすけん、RTKとかもつよつよばい!

民間等電子基準点のみを既知点としたスタティック測位をDroggerProcessorを使ってやってみる。

民間等電子基準点の配信データRTCM3と、現地観測したRAWデータを使ってスタティック解析します。

STRSVRで、民間等電子基準点が配信しているRTCM3メッセージをダウンロード

現場に行く前にダウンロードば開始しとってから、現場でDroggerを使ってスタティック測位するばい。
事務所に戻ってきたらSTRSVRを使ったロギングは停止するばい。


この記事で使用する民間等電子基準点のRTCM3と、現地観測のRAWデータのダウンロードはこちら


民間等電子基準点の配信データをRTCM3(あーるてぃーしーえむすりー)、Droggerで現地観測した観測データをRAW(ろー)データと言います。


拡張子はrtcm3にしとかんと、DroggerProcessorで選べんばい。

Drogger-GNSS測量機を使って現場でスタティック測位のRAWデータを取得する。

現地でスタティック観測します。

DroggerProcessorにて解析する。

– 概要 –
・RAWデータとRTCM3をDroggerProcessorに登録する。
・RTCM3を固定局にして、RAWデータをスタティック解析する。

スタティック観測した時間と、民間等電子基準点のRTCM3の時間が被っていれば解析できるけん!


RAWデータをDroggerProcessorに放り込む

これで現地観測のRAWデータを1秒毎のRINEXデータに変換できます。

ST2,ST3も同じように登録だけするばい


民間等電子基準点のRTCM3を電子基準点として取込む

今回は下記(背景緑)の3局ば使って解析するばい

西遠支部民間等電子基準点名緯度経度楕円体高
junken34.7285999166137.591980472250.64
kuwano34.7180100000137.533192500049.50
Annex34.7061594400137.763803880051.60
kazu34.7032311100137.661826940069.00
sahara34.6883129100137.569751610052.18
nakazushi34.6801605500137.722553330048.70
toyo34.7604044400137.666195270076.50
sube34.7605743333137.752469972261.22
sakura34.8152516300137.7395045800129.72
nobuhiro34.8245442400137.806620020075.83

西遠支部の民間等電子基準点は全部国土地理院に登録された1級GNSS測量機、Droggerの3周波受信機のRZS.Dと、アンテナHX-CSX601Aの組合わせで出来とるけんね!

基準局の緯度・経度・楕円体高は「善意の基準局掲示板」から持ってきます。

junken34.7285999166137.591980472250.64

ここで等級を電子基準点にすると、点検出来る様になるけん

他の民間等電子基準点も同じように登録します

sube34.7605743333137.752469972261.22

toyo34.7604044400137.666195270076.50


解析を行う

・ST1をjunkenと解析する
・ST2をST1と解析する
・ST3をST2と解析する
・ST3をsubeと解析する
・ST3をtoyoと解析する






電子基準点より近距離での解析が可能!


ちゃんと点検出来る

1秒データで解析(30倍のエポック数)

解析に利用出来る衛星数が大幅に増える!


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